ギタリスト、コンポーザー、プロデューサーとして多岐にわたる活動を展開する関口シンゴが、2023年にリリースしたアルバム『tender』のリミックス企画第2弾として、Lo-fi Hip Hopシーンで絶大な人気を誇るアーティスト、LDJをリミキサーに迎えた「Southern Street (LDJ Remix)」を公開しました。このコラボレーションは、関口シンゴの繊細なギターワークと、LDJが手掛けるチルなビートが融合し、新たな音楽的物語を紡ぎ出しています。
関口シンゴ:ジャンルを横断するサウンドメイカー
関口シンゴは、東京出身のアーティストで、origami PRODUCTIONSに所属しています。Ovallのギタリストとしても知られ、ジャズ、ソウル、ロック、ポップスといった多様なジャンルを独自のセンスで解釈したサウンドメイキングが国内外で高く評価されています。楽曲制作、録音、ミキシングまでを自身でこなすマルチクリエイターであり、そのレイドバックしたサウンドの中に、切れ味抜群のバッキングやソロギターを共存させるスタイルは、多くのリスナーを魅了しています。2023年12月にリリースされたセカンドアルバム『tender』は、Spotifyなどのプラットフォームで2,000万回再生を超えるヒットを記録し、その人気ぶりを示しました。このアルバムには、世界中のリスナーに愛される「Jazz Vibes」のようなグローバル・プレイリストにもピックアップされた「Southern Street」も収録されています。
LDJ:Lo-fi Hip Hopシーンの注目株
一方、リミキサーとして参加したLDJは、Lo-fi Hip Hopの世界で確固たる地位を築いているアーティストでありプロデューサーです。Spotifyだけでも月間50万人以上のリスナーを抱え、楽曲のストリーミング再生回数は3億回を超えるという驚異的な数字を記録しています。NujabesやMadlibといったレジェンドたちから強い影響を受けたその音楽性は、日本国内でも根強い人気を誇っています。LDJのサウンドは、ジャジーでソウルフルなビート、ダスティな質感、そしてメロウでありながらどこか宇宙的な雰囲気を演出するシンセサイザーやリバーブの使い方が特徴です。
「Southern Street (LDJ Remix)」:ジャンルを超えた化学反応
今回発表された「Southern Street (LDJ Remix)」では、LDJが関口シンゴの原曲「Southern Street」が持つ穏やかなギターラインと温かな音像を最大限に活かしながら、自身のシグネチャーであるLo-fiビートを巧みに融合させています。LDJ自身も「オリジナルのビートは中毒性のあるジャジーな雰囲気とギターのテーマがあって、それがすごく気に入ったので、そのまま活かしつつ、ギターにもう少しダスティな質感を加えて、よりスローでローファイなドラムを乗せました」と語っており、さらにシンセサイザーや強めのリバーブ、レーザー音のような効果音、サイドチェインを駆使することで、原曲とはまた異なる、没入感のある新たな世界観を創り出しています。このリミックスは、夏の暑さを忘れさせるような、心地よいリラクゼーションと深い没入感を提供する楽曲に仕上がっています。
『tender Remix』企画:アルバムに新たな息吹を
この「Southern Street (LDJ Remix)」は、関口シンゴが展開するアルバム『tender』のリミックス企画の第2弾にあたります。2023年12月にリリースされた『tender』は、全12曲が個性豊かなリミキサーたちの手によって再構築されるプロジェクトとなっており、6月にリリースされた第1弾「Raincoat (Paul Grant Remix)」に続く今回のLDJによるリミックスは、ファンにとって大きな注目を集めるトピックです。この企画は、関口シンゴの楽曲が持つポテンシャルと、多様なアーティストとの化学反応によって、アルバムに新たな命を吹き込むことを目指しています。
Lo-fi Hip Hopの隆盛とジャンルの垣根
Lo-fi Hip Hopは、2010年代中盤からインターネットを中心にじわじわと人気を高め、今や一つの確立されたジャンルとして多くのリスナーに支持されています。J DillaやNujabesといったアーティストにルーツを持ち、ジャズやソウルからのサンプリング、そしてリラックスしたビートが特徴で、作業用BGMとしても絶大な人気を誇ります。YouTubeのライブストリーミングやSpotifyのプレイリストなどで手軽に楽しめることから、そのリスナー層は拡大し続けています。このような状況下で、関口シンゴのようなインストゥルメンタルやアンビエントなサウンドを得意とするアーティストと、Lo-fi Hip Hopのクリエイターとのコラボレーションは、音楽シーンにおけるジャンルの垣根が低くなっている現状を象徴しており、両者のファン層に新たな音楽体験を提供するものです。
今後の展望
LDJは親日家としても知られ、過去には日本に長期滞在した経験もあり、今年11月には東京でのライブも予定されています。今回のコラボレーションは、日仏クロスカルチャーの融合とも言え、その音楽性は国境を越えて共感を呼んでいます。関口シンゴの『tender Remix』企画はまだ序盤であり、今後どのようなアーティストがリミキサーとして参加し、アルバムに新たな解釈をもたらすのか、音楽ファンの間でも期待が高まっています。この「Southern Street (LDJ Remix)」は、関口シンゴとLDJ、それぞれのアーティストの個性が光る、まさにトップレベルの音楽的ストーリーと言えるでしょう。